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【Wローズ】三日目 夜『語り』【ソロプレイ08】
JUGEMテーマ:TRPG

引き続き、Wローズ三日目です。夜なので、本来は[変異混成]なのですが、その前に『語り』を入れて状況と動機付けを挿入します。

ただし、話す相手が[反発的存在]で「ミスリード」させるものでして、どうなることやら。

※これまでの展開
・キャラシート:[でたらめの海賊]ヴェイセル
・キャラメイク
・オープニング【ソロプレイ01】
・一日目 昼/夕【ソロプレイ02】
・一日目 夜[虫の知らせ⇒神託の魔法風景]【ソロプレイ03】
・一日目 夜[変異混成]【ソロプレイ04】
・二日目 朝〜夜【ソロプレイ05】
・三日目 朝[反発的存在との交流]【ソロプレイ06】
・ちょっとまとめ
・三日目 昼〜夕[反発的存在との交流]【ソロプレイ07】







↓↓↓
【語り】
案内されたのは、四辻から少し離れたところ。村の中心からそう遠くない場所に、それはあった。

「確かに、屋敷だなあ…」

この辺りで一番大きな館は、いかにも成り上がり商人が建てそうな豪勢なもの。しかし門の中へ一歩踏み込み、庭に飾られた像を見て俺はうっと唸った。

「なあ、あれ…大トカゲ…?」

清らかな噴水、美しい花々、整えられた植木の間に、あの道すがら見かけた大トカゲの像がいくつもある。
「おや、お目が高い」
ゴードンは誇らしげに笑う。

「私の故郷に生息するミナミオオトカゲですよ。ああみえて温厚で、かわいらしいものです」
「ご主人様は昔飼っておいでだそうでした」
「こっちへ来た時に、すべて野生に戻しましてね。――なにせこちらは彼らにとって寒すぎるもの。連れてきても死なせてしまう。それならば自然に返した方がよかろうと」

心なしか、寂しそうだ――おっと、相手のペースにのってはいかんな。

「今でも思い出してしまうので、慰めに名のある彫刻家に造らせたんですよ」
その言葉に、思わずぶはっと吹いた。
「あのー、村の道にあったアレも」
「おや、見つけられたんですね」
おずおずと尋ねた俺に、ゴードンは嬉々として食いついてきた。やべえ、話なげえぞこりゃあ。
「かの大トカゲが、この地を散策しているような風景が欲しいと思いまして。置かせてもらったんです」
「は、はあ…」
いささかげんなりしつつも、愛想笑いだけ浮かべて話を合わせる。

「もちろん、村長にも許可をいただきましたよ。いくら私の趣味だからと言って、押し付けるのは失礼というもの。きちんと了承を得ておりますとも」
どんな方法で許可もらったんだろうなあ。俺は村長にいくばくかの同情を禁じえなかった。

トカゲ話に愛想を振りまいたせいか、館での待遇は思った以上に良いものだった。
上等の客室に通され、湯浴みの支度を整えてくれた。埃を落として出てくると、真新しい肌着と上着。今まで着ていた俺の服は、洗濯してくれると言う。
その辺りは、みんなアミールの仕事だ。

「ケツかいーわ」

至れり尽くせりが、妙に居心地悪い。まあ、金持ちの歓待なんぞこんなもんなんだろうけどなあ。

しかし、久しぶりに堅い地面の上じゃないってのはありがたいな。ふかふかに沈みすぎるベッドに寝転がり、糊の利いた清潔なシーツの感触を心地よく味わっていると、ノックの音がした。

「食事の支度が整いましてございます」

顔を出したのはアミール。
彼女の後をついて食堂へ行く。その間、何度か話しかけてはみたが、アミールは一言も返すことはなかった。

どうやら根っからの無愛想らしい。

食堂では、ゴードンが待っていた。

ひき肉がぎっしり詰まったパイ、熱々のウサギのシチュー、白く柔らかいパン、みずみずしい果物、異国の珍しい菓子。

食卓に並ぶご馳走は、確かに美味いものばかり。俺は遠慮なくいただくことにした。

ゴードンは、先のトカゲの例を引くまでも無く、南方から出向いてきた商人だった。行商から苦労して身を立て、この地で特別なニカワを見出し、村に富をもたらしたのだと言う。

「ニカワとは、本来動物から採れるものなのですが」

赤ワインのグラスを傾けつつ、ゴードンは語る。

「それに極めて似た成分を分泌する樹木が、この地に群生しておりましてね」
「ほう…」

思い出したのは、昨日みかけたあの樹木。地面から小ビンのような根を突き出していたアレだ。

「動物からニカワを取るには、多くの動物を狩り、それなりの規模の工房を作らねばならない。しかし、あの樹木は表面を削るだけで樹脂を分泌してくれる。採れる樹脂は上物」

ほろ酔いのゴードンは、饒舌だ。
その周囲で、使用人が給仕に勤しむ。その中にもちろんアミールもいる。

「ニカワは、工業品でもあり、絵画にも使われ、船の防水加工にも使われる
「ああ、確か船の表面に塗って海水の浸水を防ぐんですね」
「おや、よくご存知で」
「ええ、出が港町なもんで…」

ゴードンは微笑む――その中に厭らしい影がにじみ出た。

「ストラディウムの造船業者に、ここのニカワを売りこもうと画策しておりましてね」

ああ、聞いたことがある。海運国ストラディウムにはユルセルーム随一を誇る海軍があると。イーヴォ派のほとんどの国の造船を手がけている、とも。

「なるほど、確かに手広くやってらっしゃる」

俺は、香辛料の利いたパイを飲み込み、白ワインをあおる。

「ところで、ヴェイセルさん。あなたはなぜこの地に?」
「あ? あーうーん…」

俺は思わず口ごもった。さすがに自分がアムンマルバンダとは名乗りがたい。そもそも昨日の今日だ、自分が本当にそうであるとは、まだはっきり手ごたえを得ていない。

「いやあ、旅先で変な噂を耳にしまして」
俺は、あの山小人が口にしたことを適当にぼかして話すことにした。

「この村に『動く目』なるものが出現した、と――」

ピリッと、食堂の空気が変質した。
アミールを含めた使用人の目が一斉にこっちを向き、ゴードンの笑顔が凍った。

「――そうですか」

その奇妙、わずかな間をごまかすように、ゴードンが笑顔を作り、ワインを飲み干した。それを合図としたかのように、ほんの一瞬、ぎこちない違和感を残して、使用人は元通りに動き出す。

「人の口に、戸板は立てられませんね」

わずかな沈黙が支配した後、やがて観念したように、ゴードンは口を開いた。

「確かに、我々は『動く眼』に困り果てています。いや、正確に言うと『動く目』を利用して、私利私欲をたくらむ存在に」
「?」

ゴードンは、杖を見せた。昼間、アミールを殴ったそれ。その光景を思い出し、俺はわずかに顔をしかめる。

「この琥珀は、この村で採れるもうひとつの特産品です」

そんな俺に気づく様子もなく、ゴードンは話を続ける。

「琥珀は太古の昔、流れ出した樹液が地の底で固まって出来たと言われる宝石。この地でよく採れるのは、おそらくあの樹液から出来たものなのでしょう」

「といっても、しょっちゅう採れるものじゃない。時折、気まぐれに見つかる程度。この村の人々は、見つかったそれらを顔なじみの宝石商に売っておりました。私もたまたま見つけ、それを売ることで商売の元手にできたようなものです」

「もちろん、富は村に還元しておりますよ。くだんのニカワを見つけ、大きく商売として用いることをアドバイスしましたし」

とうとうと、立てた板へ水を流すがごとくゴードンは述べる。
そして、その声をぐっと潜め――

「その、琥珀がよく採れる場所に『動く目』が出現しましてね」

思わせぶりに、囁いた。

「その元凶は、どうも森に棲む魔法使いだというのですよ」

『魔法使い』と言う言葉に、アミールの手が一瞬止まった――ような、気がした。

「魔法使い? そいつが、何をしたってか?」
「分かりません」
「はあ?」
「分からない、しかし、魔法使いが雨乞いの儀式を始めた頃と重なって、『動く目』が現れたのは本当です」

思わず、周囲の召使たちを見ると、目が合った一人が静かに頷いた。

「もともと彼女は、村の知恵袋的な存在だと聞いております。薬草を作り、村人の困りごとを助け――」
「じゃあ、いい存在なんじゃねえの?」
「そう思っていました。村人も、私も。しかし――」

ふっと、息をついて、ゴードンは殻になったグラスをテーブルに置く。

「いつでしたかね。激しい雷鳴を伴った豪雨が一晩降って後、雨がぱったり降らなくなりまして。困った村人は、魔女に雨乞いの儀式を執り行ってもらったんです。しかし、雨は降らず、代わりに出現したのが『動く目』――出現場所が、よりにもよって琥珀が良く採れる牧草地とくれば――村人にとっては、十二分な凶事であって」
「しかも、琥珀を独り占めできる状況になるって訳か…」

話しながらゴードンはテーブルに両肘を着き、両手を組み合わせて身を乗り出す。

「私もアミールを儀式の手伝いに使わせた手前、魔女の手先だと思われておりまして。村人たちに潔白を証明せねばなりません」
「手伝い?」
「ええ、丘の上は小さな泉がありましてね。その泉の水を、雨乞いの祭壇の器に毎朝捧げる役目を担っております」

だから、あんな朝っぱらに水桶持っていたのかよ。
俺は心の中で毒づいた。

「解決を急がねばなりません。というのも、乾燥の度合いがぼちぼち樹木に影響を及ぼし始めていましてね」

俺は、あの小ビンのごとく突き出した木の根の群れを思い出す。

「くだんの樹木は、乾燥に弱い。ニカワが採れなくなると、この村は文字通り干上がってしまう。
 見た目は大きな村ですが、土地は貧しく、それほど恵み豊かではない。
 雨が天の思し召しであれば、私にはどうすることも出来ません。
 しかしせめて琥珀をもっと採取して売ることが出来れば、雨が降るまでの当座はしのげましょう」

ふっと、ゴードンは息をつき。

「いや、旅人のあなたに、つまらぬ話を長々としてしまいました」

穏やかに微笑んだ。

「すっかり夜も更けてしまったようだ。夜相花エルノマの散りきらぬうちに、床に就く方が良いでしょう」

気がつけば、テーブルのロウソクもすっかり短くなっている。

「ヴェイセルさんさえ良ければ、わが屋敷にこのまま逗留していただいて構いません。世話は引き続きアミールにさせましょう」

それでは、イニアの良き恵みを。

ゴードンはそう言って、食堂を後にした。
【語り終わり】

長々しくなったけど、だいたい村の状況と動機付けが出来ました。
さあて、ここでロールを踏まえると、ゴードンの話したことに嘘が混ざることとなります。

何を嘘とするか
・ニカワ、琥珀の富を村へ分配
・[動く目]の元凶は、森の魔法使い

このあたりが妥当。

ということは、ゴードンは
・[動く目]を作った元凶である
・ニカワと琥珀の富を独占したいと考えている
・そのために、魔法使いを村人の敵だとの噂を流布している
・魔法使いが目障りなのは、都合の悪い真実を知られている
このあたりでまとめるのがいい感じですね。

というころで、ゴードンを[塞ぐもの]で確定してもいいかなあ。

そして、必然的に魔女は[非反発的存在]として設定してもいいかもしれません。
ただ、偏屈な存在であっても面白いかもw

そしてもう一人のキーパーソンのアミール。
彼女と魔女の関係とどう動かすかは、トランプで決めてしまったほうが面白いr
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