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周防さん、という幻想 #カーネーション
だんじりさながらのスピード感で疾走し続ける『カーネーション』

年が変わり、一月をフルに使って、糸子と周防の不倫関係をがっつりやってくれました。
不倫と言っても直接表現は無く、画面上では告白しあって抱擁する程度。プラトニックな関係を匂わせて、でも陰影の濃いライティングや画面構成を駆使して、深読みしたら『そういう関係』もあったんだろうなと匂わせるあたり、もう朝からガツンガツン攻めまくっております。

全く守ることをしないNHK!
とんでもねえ、ほんとにとんでもねえぜ!
朝から何をやらかすんだよ、いいぞもっと(r!

『てっぱん』も「ありゃあ朝ドラでやっちゃあアカンでそ」なチャレンジングな構成でしたが、『カーネーション』のそれは一段も二段も上で、しかもとても深い。TVドラマスタイルのひとつの完成系になるんじゃないかなと思えるぐらい、完成度が極めて高いドラマです。

で、先にも述べたように、一月は『業の肯定』をとっくり炙りだしてくれまして。『外れても 踏みとどまっても 人の道』と言う組合長(近藤正臣がまた良い味出してるのよねえ)の言葉通り、「外れてもがき、足掻く」姿を通して、人間の哀しさを見せてくれました。

コシノ三姉妹の母・小篠綾子さんモデルということで、取り上げられる描写のほとんどが事実。ドラマ上のうそ臭い演出と思われがちな『ご近所含めての親族会議』『亡夫の写真を突きつけられて「顔向けできるか?」と言われたこと』『子供達が庇ったこと』も本当にあったことですが、さすがに20年近く一緒に暮らした事実をそのまま…というのは難しかったようで。

ではどうするかと思えば、「おっちゃん」と呼ばれたその人物を、『周防』と『北村』に分けて描いた。これは巧いなあ。たぶん事実通りに描いたら紛糾どころの話じゃなかったでしょう。たったあれだけの描写でmixiコミュもTwitterもひっくり返らんばかりの騒ぎだったからなあ。

事実を事実通りに書くのではなく、虚実ない交ぜで上手に料理して、観る人に『一番伝えたいこと』を届ける。この手法には、ほんとうに唸らざるをえません。

で、肝心のその周防さんですが。個人的にイケメンに興味ないこともあって、さほど入れ込んでおりません(ファンの方すみません)。どちらかと言うと、『綾野剛』という役者っぷりが興味深かったですね。肉体を持たない、夢のような、それでいて男のずるさと弱さを匂わせる。一人の人間の光と影をきっちり演じられた演技力をとくと堪能いたしました。
たった三週間足らずの登場なのに、存在感は尾野真千子に全く負けてなかったですね。本当に役者ってすげえです。

まあ、この話をするとどうしても不倫の是非論になっちゃうけど、このドラマに限って言えば、「迷惑をかけずに生きられる人なんかおらへん」し、当人は「誰かを傷つけて幸せになることへの負い目を理解しつつ、背負って生きる」道を選んだのだから、これ以上なにも言うことはないなあと。事実云々以前に、ああ、自分の道を貫くって、こういうしんどさもあるなあと、その方に気持ちが行っておりました。

まあ『不倫は悪いことだけど云々』と、いちいち前置きするのがめんどくさいだけですが。

あと、なんとなくぼんやり思っているのは、平成の世で何もかも満たされた自分からみれば、戦後数年という時間がもたらす隔絶感はどうしても理解し難いなあ、ということ。

周防さんにつきまとう、長崎の原爆の影。糸子にもたらした、好きな男達がみんな死んでしまったことの虚無感。そして、二人の背後にある、戦争と戦後数年後と言う時間がもたらす虚無感と孤独感。

『入り込んでしまった存在』に恋することを、責めることはできないなあ、と思っています…が、それがどれだけの重みを持っているか。それが実感として掴めない限り、たぶん、二人の孤独は理解できないし、孤独が理解できなければ不倫がどうこうという意見に説得力が持たせられないとも思ってしまうのです。

「孤独感を癒すためなら不倫して良いのか」という、そういう簡単で二元的な問題じゃないもんでねえ。

だからよけいに、『周防さん』と言う人物が、私には『影』のようにみえるのかもしれません。ずるい人かもしれませんが、黙って糸子の好きなようにさせた人でもあるし、そういう人だからこそ、糸子が引かれ、自らの過ちに気づくことができたのでしょう。

別れの朝、借用証書を取り交わして、『同業者』に戻ってひとつの関係が精算、このエピソードは終了となりますが。

濃密すぎて胸焼けすらする(良い意味で)一月を通して、人間の業の恐ろしさと哀しさをいろいろ考えてみてみました。

「気色の悪いもん、持ち込まんといてくれ!」(←この表現、ほんっとすごい!)と言う経理の恵さんの言うとおり、人の恋愛とは不愉快なものです。ましてそれが、社会的に許されないものとなれば。その辺りもきっちり描いて、逃げ場の無いドラマでした。

でも思うんです、『人間の業』は、なにも恋愛沙汰ばかりじゃないと。たとえば親子の仲だとか、姉妹の確執とか。そういうものも十二分に、『業』だと思いますよ。

『カーネーション』は、一人ひとりの業をえぐい角度から突っ込みつつ、軽やかに肯定するドラマです。
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