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ファンタジー大河 『 #精霊の守り人 』 シーズン1
精霊の守り人:NHK大河ファンタジー公式サイト


十年来の原作ファンです。ゆるーい原作厨の自覚はあります。

もちろん、8年前のアニメもがっつり観ておりました。以前使用してたブログにまとめてありますので、興味ある方はどうぞ。ネタバレ全開なのでご注意を。

・シチュー鍋の中の混沌−カテゴリー『精霊の守り人全般』


原作を初めて読んだ時。この世界を実写化は無理。できてせいぜいハリウッドやなって思ってました。だいぶ昔に『実写映画化』の話も挙がってて、流れた時は正直ほっとしました。

だから、『大河ファンタジーとして実写ドラマ化!』のニュースを聞いた時、率直に言って「なんと無謀な」「NHK無茶しやがって…」「ほんまやめとけ!」でした。バルサ役が綾瀬はるかであるのも、ひっかかりまして。「若すぎるな…」「おばさんだから尾野真知子がいいんだけど」と、何の根拠もなく思っていました。

だいたい、小説を読んだ人一人ひとりには、脳内監督が棲みついていて、そいつが活字を完璧なまでに美しく映像化してくれる訳で。

そんなん。勝てる訳ないやん。

それでもちゃんと楽しみにしてる自分も存在し、「ちゃんと観て判断しよか」と考える自分もいて。放送終了後「いけるでこれ!」とはまった自分がおりました!(笑)


不満を挙げればいくらでも言えます。十年前の頭がガチガチに固まった自分だったら「あれもダメこれもダメ」とたらふく言い立てて、「だから日本はダメなんだ、ハリウッドじゃなけりゃ」と、したり顔で批判してたかもしれません。

しかし、今、不満なぞ瑣末に思えるほど見事にはまった自分がおりまして。同時に、「今、自分が観ているのは『新しい可能性』の塊なのかもしれない」に熱くなっておりました。


■原作小説。今回はこの1巻分を4話かけて放送
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以下、ネタバレ感想です。


↓↓↓↓↓
■日本の風景が創り上げる国産ファンタジー
まず圧倒されたのが、4K画像の美しさ。もちろん我が家のTVは対応していませんが、それでもこれまで目にした画像とは比べ物にならないほどの鮮やかさ。NHKの本気はここから始まっていたのか…!

しかも、ロケ先が「よくぞ見つけてきた、よくぞ許可を取り付けた」と思うものばかり。日本とは思えないけど、しかし日本で無ければ見られない広大な風景の数々。

素直に『日本の風景で、日本人が撮った日本産のファンタジーの映像化』でここまでできて、『家庭のTVで観れる環境』に感動した自分がおりました。原作リスペクトで限界に挑戦してくれた、NHKのスタッフには感謝しかないぞと。


特に熊本大分の震災前に4Kカメラ収めただろう、阿蘇山や菊池渓谷の豊かな自然が今となっては別の意味で胸に沁みます(;;

この風景だけでも、『精霊の守り人』を観る価値はあります。

同時に、「ハリウッド・テンプレートでは、『守り人』は駄目なんだ」を痛感した次第。技術や見せ方、緊迫感の演出などなどはあちらの方がはるかにレベルが上です…が、テクニックだけではフォローできない『何か』を感じたりもして。言葉で容易に出来ないのですが、そうですね…「アジア的な空気感」をきちんと理解してくれるだろうか、という思想レベルの話になりそうで。これに関しては心の中で保留とします。また言葉にまとまったら投下しようかと。


■殺陣(アクション)
ドラマの一番の懸念は、CGでもVFXでもなく『アクションが出来るかどうか』でした。バルサが『プロフェッショナルの用心棒』たる一番の説得力がこのアクション=殺陣の描写でして。

どんなに作りこまれた世界でも、人間同士がぶつかり合う戦闘シーンがしょぼかったらアウト認定するつもりでした。

が、嬉しいことに予想は見事に覆されまして。「ああ、バルサは綾瀬はるかでなければダメだわ」と納得。あれほど激しい殺陣をこなせる気力と体力は、『本当のおばさん』では駄目なのだと理解。単純な俳優のイメージだけで決められないのだと思いました。

いやほんと、綾瀬さんを初め皆さんよくやったわ…。アクションに次ぐアクションを、よくぞこなしてくれたと。しかもちゃんと『精霊の守り人』の世界観を確立してくれたこと、感謝に絶えません。

同時に、殺陣の組み立てや展開、スピード間に『新しい息吹』を感じまして。過去の時代劇の流用でもなく、外国のものでもない。日本独自でありながら過去の日本のどれにも無いもの。強いて言えば、映画版『るろうに剣心』に似たものを捉えまして。全く新しいスタイルを模索しようとする、その気概に惚れてしまったというのもあります。

その最たるものが、『カンバル式短槍術』とでも言いますか、格闘技や剣術なら必ず存在する『基本の型』まできちんと決められている点。

そうです、私が『精霊の守り人』を本気で楽しもうと心に決めたのが、この『型』でして。

『型』があるということは、実在する剣術として血肉が与えられているということ。短槍は、バルサの命を繋ぎとめるもう一人の主人公でもある点をスタッフはしっかり理解していると感じ取り。『型』を作ることで本気で『精霊の守り人』をこの世に具現化するつもりなのだなと、ぐっとひきつけられました。

また、『型』を作るということは、教える側教えられる側の心情の流れを、より明確に見せることが出来る点も素晴らしく。ドラマ内でジグロがバルサに教え、バルサがチャグムに鍛え伝える。それぞれがそれぞれに、台詞で言い表せない想いが、『型』を通して溢れてくる様は、原作にもアニメにもない、このドラマでしか観れないものでした。

特にバルサがジグロの幻と『型』の組み合いを取るシーンはまさに《槍舞い》そのもの。確実に『闇の守り人』への伏線となってる!と確信した次第です。


■ストーリー
アニメは第一巻『精霊の守り人』を26話かけて作ったのに対し、ドラマは全十巻を22話で展開。第1シーズンは番外短編集から『流れ行くもの』を絡めつつ、第一巻目を4話に分けての展開であり、同時に後の伏線がいくつも張られている状態で終了、という形になりましたが。

最初こそ戸惑ったものの、終わってみれば改変部分をおおむね好意的に受け入れております。

第一の理由が『アニメよりずっと原作寄りだったこと』。これは私がアニメの改変に納得してなかったことにも由来します(後述)。

第二に、ドラマスタッフが原作の『芯』を大切にしたい気概に満ちていたこと。原作者の上橋さんが企画会議からがっつり参戦してくれたこともあり、許容範囲内でまとまっていたなと。

第三に、上記を踏まえたうえで、全十巻をドラマ化する意味を制作側がきちんと理解し、人物描写にもストーリー展開に大改編を行っていることが伝わったこと。

(全巻読んた方はお分かりですしょうが)この後、舞台はロタ王国、カンバル王国、サンガル王国といった周辺国に広がり、最後は大国タルシュ帝国との大戦へと展開。そこに《ナユグ》の変調が絡み、一人の人間の力ではどうすることも出来ない、強大な大波の中で、チャグム、バルサ、タンダそれぞれが自分の信じる道を選び取っていくのですが。

改めて観ると、全て三年後に帰結させる前提で組みなおされ、実に丹念に仕掛けられていることが理解できます。

最大の肝が、二巻目『闇の守り人』をシーズン2ではなくシーズン3に持ち越した点。

原作では、『闇の守り人』と最終巻『天と地の守り人(カンバル編)』でバルサは二度カンバルを訪れます。カンバル王ログサムは死亡した為バルサは逃げ回る必要が無くなり、(わだかまりや警戒心はあるとはいえ)故郷への敷居が低かったのですが、ドラマではログサム王を生かし、バルサのカンバルへのハードルを上げ、同時にログサムが生存=死んだジグロの陰をより濃く落とすことでシーズン3へと繋げています。

これは非常に大きな『引き』であり、(ネタバレになるので具体的に触れられませんが)「シーズン2で『闇』をやってしまうと、バルサがチャグムの傍流になってしまう」という上橋先生の見解は正しく、小説と映像、アニメとドラマの違いをよくよく理解していると思う次第です。


■登場人物達

以下、主だった登場人物の印象とかだらだらと。

■バルサ
原作イメージに比べれば確かに若い。しかし、まだ『青さ』の残るバルサだからこそ、未だ生存するログサムへの敵意を剥き出しにしてもおかしくなかったんだなあと。今後の展開のハードルを上げてでも、バルサが自身の憎悪とどう向き合うのか。『闇の守り人』をなぞるというシーズン3の『解』を待ちたいところです。

幼少時のバルサを演じた清原果耶さんは、『あさが来た』でおふゆ役を演じた13歳の女の子。女中で物静かだけど、主人公あさの・夫新次郎に思いを寄せるというもので。史実の『妾』の件もあり、視聴者からの反感も背負う難しい役柄でしたが、見事演じきり、最後は父親の暴力から身を挺して守ってくれた中番頭の亀助と結婚。視聴者から大きな祝福を受けてクランクアップとなりましたが…

おふゆちゃん、まさかこんなとこで槍ふるってたなんて(笑)

おふゆちゃんの印象とは全く逆で、最初はほんと分からなかったです…。初めての女優のお仕事であの激しいアクション、乗馬をこなした根性はたいしたもの。そこにいたのは、間違いなく『少女バルサ』でした。機会があったら、彼女主役で番外編短編集に収録されてる『浮き籾』をやってほしいな。少年タンダと一緒に出て欲しい。清原さんの繊細な演技は、きっとはまると思います。


■タンダ
基本的に彼は『受け手』側の演技だから、動き回る側よりずっと難しい。通天閣もとい東出昌大さんのタンダは鷹揚として、とがり続けるバルサのいいパートナーだと思えます。

バルサとタンダの仲がどうなるか。二人が急接近した『花の守り人』の映像化が無い可能性もあり、この辺りも不明です。三話目で、タンダの申し出をバルサが断わり、その後、カンバル王暗殺を試み失敗、そのままロタへ逃亡して4年後のシーズン2へ…と言う流れなのでどうなるのかなと。シーズン3で、あの描写はやるのかな…そうなったら過酷さに涙を禁じえない予想…。


■トロガイ
高島礼子さん! ほんっとに楽しそうだなって! 演じるほうもトロガイ自身も楽しそうだなって! 実はイメージでは「もっとお年を召した女優さんの方が…」と思いましたが、野外ロケばんばんやって、野山や急流を走り回るとなれば、やはりリアル老女優よりも、足腰のしっかりした方の方がええわと。しかしほんと、楽しそうでした! 


■ジグロ
吉川晃司さんは、『下町ロケット』を観た瞬間「この人のジグロ、絶対かっこよくなる!」と確信しまして。実際その通りでして! カッコイイだけじゃなく、バルサへの厳しくも優しい愛情が画面から濃厚に溢れているのがたまらなく好きでした。二人が槍を抱えて歩くシーンとか、臨終の際とか、忘れがたい場面が多く。中でもやはり二話目の《槍舞い》は屈指。


■帝
ノーボラン笑うしw チャグムの中に眠る才能に嫉妬し、同時に自分がどうあがいても『そこ』へ辿り着けない事実に苦しむ一人の人間の狂気と憐憫は、藤原竜也でしかできなかったかも。チャグムと帝の二人が、シーズン3のラストシーンにどう帰結するか。原作を知っていても読めません。


■シュガ
『ワカメの四番化(『あさが来た』参考)』してワロタ。原作ともアニメとも違う、若々しくて落ち着きが無くて(笑)、命の危機すら恐れない。だけど、シュガと言うキャラクターに共通する、『事実から目をそらすこと、見てみぬふりをすることを許さない』って気骨はきちんと持っている訳で。
ある意味最も愚かで、最も勇気ある人間。自分の生きる道を見つけ、踏破する覚悟をとっくの昔に終わらせた若者。バルサの対極にいながら、バルサと同等の存在、なのかもしれません。チャグムの教育係となり、ゆくゆくは聖導師となる彼の成長がとても楽しみです。


■ガカイ
最高です。大好きです。原作よりぐっと人間くさく、生き生きとしています。まさかシュガを閉じ込めるとは。しかも石版の知識を欲して恫喝するとは…最高です(二度目)。ここまでしながら、つめが甘い。野心は人並みにあるけど、胆力が足りない。後輩に追い抜かれてもしかたないなー、的な、ごくごく普通の人間を演じてくれてありがとう。シークレットブーツエピ、最高です(三回目)。


■二の妃
アニメや原作よりもはっきり存在感を増し、人間味溢れる人物になった人。聖導師を脅迫できるほどしたたかで、王家の血を繋ぐ道具でしかない立場の弱さ。しかしただ一人、チャグムのためなら全てを投げ打てることを示し、子を裏切らぬ母であることを色濃く描くことで、チャグムが生き延びたいと願う動機の位置づけにもなります。そんな儚く強い女性を演じてくれた木村文乃さんに感謝。


■聖導師
平幹二郎さん、柘植衣装似合い過ぎます。さすが舞台俳優、このままシェイクスピアばりに舞台劇『精霊の守り人』とかやりません?(笑)。

ドラマ版は、原作やアニメより黒く、原作やアニメよりも体温を感じる人物でした。星の下知に従い、公明正大である陰で、シュガを地下に下ろして試し、観る側にサグム死亡の糸を引いていたのか?と疑惑を持たせる演出。過去の聖導師の思想を受け継ぎ、新ヨゴ国の運命を真に左右するものであり、しかし、『悪』を感じさせない。帝には息子のような感情も秘めつつ、その資質に疑問を感じてチャグムを次の王と決める。

文字に起こすと、実に複雑極まりない人物像ですが、全てを呑み込み演じてくださった平さんに感謝。こうしてみると、二の妃にバルサを会わせたのは、脅しに屈したというより、聖導師自身が未来の選択肢を残そうと考え、屈したフリをしたのかも…とも思わせます。


■ジン
最も改変されたキャラクターの一人。演じる松田悟志さん自身が原作の大ファンで、出演が決まった時は大変喜ばれたそうで。ラルンガに襲われバルサにより(救出のため)右手切断、《狩人》脱落、その後帝の密命でチャグム暗殺を請け負い、失敗して姿を消す…と言う展開はドラマオリジナル。自分を救ったバルサへの恨みと執着、己のプライドの行き所。内心の葛藤をどう描くのか。この人も全く読めません。強敵だけど、しかし、どこか義に厚い人柄を反映した松田さんのジンは、先が楽しみなキャラの一人。最後に、チャグムに跪き、頭を下げた姿が印象的でした。


■チャグム
もう一人の主人公。
小林颯くんのチャグムの一番の魅力は、悔しさ、寂しさ、悲しさの表現だと思います。実の父から命を狙われる現実、母と引き離される混乱。自分の身体にある精霊の卵という得体の知れない存在。ラルンガという死。
小さな身体で支えきれないほどの不条理に恐れ、逃げ出したい気持ちがストレートに伝わったからこそ、バルサの『過去』の反映も生きたのかなって。

同時に、世間知らずの王子が、ヨゴ人の庶民の暮らし、原住民ヤクーの文化を目の当たりにし、バルサの生き様やタンダの優しさに触れ、全てが幼い血肉になっていく過程。槍の鍛錬を通じてバルサから受けついた想い、そして自らの中に眠っていた才覚の発露。

ネガティブな感情が生きたからこそ、未来を感じさせる輝きが宿っていく過程も伝わったのかと。父王との対面で、全てを理解した上での「ジンを差し向けてくださったから助かった、父上のおかげ」の口上と睨みあげる視線の末恐ろしさよ。シーズン2からは役者さんが変わるのですが、見事に波乱の展開を予見させるにふさわしい幕引きを担ってくれました。


■気になったところ
『地図が欲しかったな』というのが、一番に来ます。架空の地名だから、尚更「お話の舞台がどこで展開されているのか」を明確に現すためですね。

シーズン2では、新ヨゴだけでなく、ロタ王国、サンガル王国、タルシュ帝国と世界が広がります。しかもロタ一国だけでも『シンタダン牢城』『四路街(これはヨゴですが)』『ツーラムの港』…とあちこちに飛ぶ。さらに、カタカナの人名が入り組みそうで、ちょっと心配ですね。
大河ドラマ『真田丸』では、どこに誰がいて、何をしたいのか、どんな状況なのかをとてもうまく説明できているので、あんな形で地図をうまく組み込めれば、理解の手助けになるかなと思います。

あとは…ほぼ原作通りの展開であったが故に、逆に『ファンタジー=仮想の設定のもとに世界を構築する作品』と言うジャンルの見せ方の難しさも炙り出したなと言う点もあったり。架空の名称へのとっつきづらさ、どこまで行っても「しょせん作り物じゃん」と言う入り込みづらさとの闘いなんだなとも、改めて。この点は『100%ツクリモノの世界だからこそ生まれる説得力』を纏うアニメに譲るしかありません。


■だけど、だからこそ
しかし、だからと言ってアニメ万歳、実写アウトと言い切る気になれないのは、『精霊の守り人』の世界を全力で具現化しようとする人々の熱意と、提示された可能性を信じてみたいと思わせるだけの魅力が溢れていたからで。言葉や理屈を超えて、届いたからには、信じてみようかと思った次第です。だから、「よくがんばった」なんて、生ぬるい言葉はいいません。

シーズン2、シーズン3は、もっともっと本気で、熱い物語を見せて欲しいと望む限り。大河ファンタジー『精霊の守り人』、シーズン2も期待します。




ここより先は、(後述)部分に触れます。

以下、アニメ版の改変に言及しています。ちょっと否定的ですので、ご注意ください。アニメの再放送も決定したこともあり、反転表示とします。読まれた後で嫌な思いをされてもこちらでは何も言えません。ご了承ください。


実は、ドラマ版を素直に受け入れられた理由のひとつに「あ、自分アニメ版の改変に納得してなかったんだなー」がありまして…(苦笑)。

『攻殻機動隊S.A.C』が大好きだったので、8年前のアニメの監督が神山健二に決まったことは本当に嬉しかったです。実際、アニメは丁寧に仕上がっていて、賞賛に値するにふさわしい出来です。

ただし、ラストに近づくにつれ「いや…ちょっと違うよなこれ…」と首をかしげた点もあって。

ラルンガとニュンガ・ロ・イムの関係性が、『言葉で全て説明できるもの』になったことで、神秘性や恐怖感が欠落したこと。あ、『説明できるもの』事態は否定しません。しかし、アニメは整理されすぎて、人の脳で考えられる範囲内で収まってしまった点が「むむむ」とひっかかり。人智が掌握できてなお強く感じられる、生命への畏怖や不条理感まで無くしてしまったことが残念でした。

また、オーバーテクノロジーの安易な持ち込み(そして大して役に立たない)。そして精霊の卵とチャグムの関係を『寄生』と称し、卵の『出産シーン』にあー、「男の人の作るお話なんだなー。出産って生理現象が根本的に理解できないから、こんな描写ぶっこんで分かったつもりでいたいのかー」ってどん引きして興ざめたこともあって。

自分の中では

「とても出来は良いけど、肝心な部分で作り手の思想が出しゃばって、はずしてしまった」微妙な立ち居地になってしまいまして(^^;

「社会を描くことは一流だけど、この人にも理解できないもの、描けないことがあるのか…」と、『神山健二の限界』を知った作品でもあります。その後の『Re:Cyborg』でも同じ感想を持ったので、昔ほど崇拝する気持ちはありません。

以前は強い気持ちがあった、同スタッフでの『闇の守り人』アニメ化も、《ヒョウル》の存在が『全て言葉で説明できるもの』になされてしまうかも…と考えると、それほど強く思わなくなりました。

なので、あの微妙な気持ちを思い出すと、アニメをやたら賞賛しドラマを過剰に貶める気持ちにはなれないのが本音です。

ただ、アニメ一話一話の出来はとても素晴らしく、安心してお勧めできるものになっている点は間違いようはありませんので、楽しみにして良いとお返事を申し上げる次第です。


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