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『純潔のマリア』9話 LIBER IX『CUM GRANO SALIS 一つまみの塩を』
久しぶりのアニメ版『純潔のマリア』の感想更新です。前回で吐き出してだいぶ楽になったのもありますが、基本的にツイッターで呟いたことの再編集です。原作ネタバレもあります、お気をつけ下さい。

この感想は、下記のカテゴリーに属します。

アニメ版『純潔のマリア』は面白いけど、なんだか『もやもや』すると言う話【追記】
その時代考証は、何のためにあるのか−『純潔のマリア』雑感【追記】
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ここに書かれる感想は、あくまで私個人のものです。アニメ展開が好だと言う方を否定するものではありません。また、アニメ版が好きな方には楽しい話にはなりませんので、読まないことをお勧めします。読んだ上で不愉快になっても、そこは申し訳ないとしか。

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めんどくせえなあ。めんどくせえ話にしやがって。

『魔女と天使の小粋なフォークロア』を『酔っ払ったおっさんが接待してくれるキャパクラの女の子に、「君ねえ、こんなことしてちゃダメだよ。君の為にならないよ」って説教してるような』話にしやがって。

原作のよいところをことごとく潰して描いたのが、この茶番か!

…というのが、だいぶまとまってからの感想。





うーん。率直に言って観たくなかったな。自分の好きなキャラが未遂であっても、強姦シーンとか。不快は隠しようもないな。石川雅之は確かに『ノータッチでお任せします』って言ったけど、『何やっても許す』じゃないと思うんだけどねえ。

まあ、原作筋に『人間を絡ませる』と知った時からの想定の展開だったけどね。本当に、『このシーンに至るまでの説得力を持たせる』構成は用意周到だった訳だ。


原作マリアから『異国の古文書を読み解く博識』『強大な神通力』『強い信念』『深い孤独』を奪ったのは、人間が易々と魔女の領域に踏み込めるお膳立てのため。『視聴対象者が共感できそうな』『魔力を使える、普通の迷える女の子』が必要だったんだ。『強い信念』は『感情的で後先見ない衝動』に。『深い孤独』は『受け入れてくれる魔女達もいる』ことで有耶無耶に。

主人公を稚拙化の上、情感豊かな少女とする点で共感性を高め、暴力で屈服・支配。観る側が動揺したところへ哲学的宗教的なものを纏わせた強烈な個性のキャラをキメさせれば、スマートに印象を上書きできる、『難しい何か』を知った気にも面白いものを見た気にさせる。



↑マリアに猿轡かませたシーンに「なるほどなー、原作と違って『呪文を詠唱しなければ魔法を使えない』」ことにしたのはこの状況に持ち込むためかー。原作では『神通力』と同等のもので、杖のみ必要とし金粒状の触媒も要らず呪文を唱えずとも使えました。


また観る側に主人公の行動が『社会的に落ち度があるように』見せ『反論の余地』を奪い、『自己責任』思考で縛ることで、製作スタッフ側の『正しさ』を固着させる。ある意味印象コントロールですな。まあ否定はしないよ、『感動』を与える正当な演出手段のひとつだもん。

知識欲を適当にくすぐって、世間知らずの主人公に『お説教』できて、彼女がひどい目に遭わされるシーンに「社会の矛盾がー」とか「キリスト教はこれだから」と知った気にさせてくれる。すごいものを観た気持ちにさせてくれる。うまいねほんと。谷口悟郎と愉快な仲間達が施してくれる『接待』はばっちりだ。

さすがだね、プロの仕事です。



↑「人間を助けない神などいないも同じ」「(大切なことは)自立することだ」の理屈が通るなら、魔女もまた必要ないと同義にならないだろうか。人を助けない神、人の自立を邪魔する魔女。どちらが罪深いのだろうか


ベルナールとの問答(と言うより、坊さんが一人で勝手にイっちゃっただけなんだけど)で、「自立することよ」は、つまり原作で言うところの

『誰も分かってない…違う、誰も分かろうとしてないんじゃないかな』
『いや、そもそも答えにたどり着くのを拒否してる?』
『耳を塞ぎ目を閉じることが処世術ってことかな…』
『違う』
『私は何を、皆に分かって欲しいと思ってる?』

からの

『世界の平和は一人ひとりが幸せをみつければきっと』
『自分が幸せを知らないとだめだ』
『結局、自分ひとりが幸せを見つければ、世界はみんな幸せになれるもんね』

と同じ流れ。そこから

『ホント言うと神様にはそんなに期待してないんだ』
『だからそんなずっと見てくれなくてもいいよ』
『あたし達自分でなんとかするから』
『見ていたいなら見てていいよ。でも心の中にだけいる程度にしてね!』

と言う、ヤハウェを『許し』、すべてを受け止め愛を語るのだ。

このシーンも原作では虜囚の身になってからの長い思考の果てに行き着いたものだが、マリアが苦しみ、やっとたどり着いた終着点でもあります。この台詞を、マリアは生まれて初めて『愛する喜び、愛される喜び』を満開にして得たものを、アニメじゃ『弱いものいじめ』させないと語れないなんて。




そうだよ。9話が不愉快なのは『強姦』シーンがあったからじゃない。原作マリアからことごとく『力』を奪い、弱体化させた上で行われた『暴力』だからだよ。これってただの弱いものいじめ。

ずいぶん舐められたもんだねえ。こんなクソみたいな『分かりやすさ』いらないのに。

アニメスタッフは自分達の作るストーリーに自信があるなら、マリアとは原作と同等のポテンシャルで扱って、ベルナールと問答させればよかったのに。もっと面白かったと思うよ。マリアはきっと「私も分からない。だから一緒に考えよう」って、言うと思うけどね。





『弱いものいじめ』といえば、ここへ至る過程に『エゼキエルの過失が重なってる』のは本当にひどくて話にならないんだよな。

マリアの秘密をガルファにベラベラ話した件、マリアの許諾なく薬をアンに渡した件。これは間接的に天の教会が地上に関わることにならないか? 「何もかもマリアの責任」に押し付ければいいとでも?

「私のせいでしょうか?」には、「おお、お前のせいじゃあ!」って突っ込んだよwww

そもそも『天の教会は地上に一切干渉しない』なら、エゼキエルの過失は矛盾では? それを「こうなった全てはマリア」のせいにして咎めない管理責任者ミカエルもただのポンコツじゃないの? こんなミカエルにしたアニメ製作者も。

『地上に関与しない』と言いつつ人前に姿を見せたミカエル然り、言動が一致してないんだよなアニメ版の天の教会側のキャラは。破綻してると言ってもいい。製作側の組み立てたストーリーに、都合よく使われてる感じがしてさ。





一番理解できないのは、エゼキエルをヘラヘラ許してるアルテミス。自分の主が殺されかけ、さらに異端として捕えられた原因なのに、なぜ怒りを見せないのか。この『異端をとりまく冷徹な社会』と『なまぬるい友達感覚』のギャップが、アニメ全体の焦点をボカしてるんだよなあ。

百年戦争当時のフランスの国政や民衆の姿、戦争での戦い方は『時代考証』できっちりツメてるのに、主人公を取り巻く人間関係が甘すぎて。この点も『原作キャラが作る側の都合よく使われてる』と考える一端なんだな。




マリアは優しいし、どんな試練も乗り越えられる強い娘だからひどい仕打ちにも耐えられる。でも、それに製作側が乗っかって、本来果たすべき仕事に手を抜かれるのはいやだな。そのキャラの性格はあくまで彼らのものであり、作り手のエクスキューズにはならんでしょうに。


↑原作ではビブが「初めて友達になったマリアのために」ミカエルを呼びつけ、戦いをしかけた。天の教会がビブを止めるとなれば、エドウィナの『見せ場』はなくなるんだろうか



ストーリーに関わったスタッフは、マリアやエゼキエルのような『原作由来のキャラクター』に対し『誠実』といえないのでは的疑問がずっとあった上での、今回の展開だったので、素直に「面白いね」とは言えませんでした。完全オリジナルならよかったのにね。



海外の感想は、キリスト教が身近にあって哲学や宗教学を学んだ人々の感想が熱い。アニメ本編より、『分かっていて』ずっと読み応えあって面白いです。
そとはん−【改訂版】純潔のマリア 第9話『CUM GRANO SALIS 一つまみの塩を』 海外の反応


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