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『純潔のマリア』 3巻
この1月からアニメ放送が始まりました。3巻巻末に『exhibition』の発売案内、そして帯には『アニメ化』の告知。

「ずいぶん先だなー」と思ってましたが、過ぎてしまえばアッと言う間。

今更感もありますが、2013年に発売した最終巻の『純潔のマリア』の3巻の感想を書きます。ネタバレがっつりあります。訳のわからない長文もだらだら続きます。合わなければそれはそれでということでご容赦ください。


★三巻最終巻。上は通常版、下は限定版(絵本二冊つき)。限定版の絵本のフランス版は、マリアの真のエンディングが綴られています。



■関連記事
・『純潔のマリア』2巻
・『純潔のマリア』3巻
・『純潔のマリア』Exhibition




以下、感想です。ネタバレ注意↓↓↓↓↓


↓↓↓↓↓



「彼氏ができましたー!」

…じゃねえだろおおおおお!www

悲壮な覚悟で挑み、エゼキエルの槍に貫かれたままで続いた2巻からの、まさかの展開。
当事者も読み手すら置いてけぼりにして、マリアは勝手に納得し、勝手に幸せになって、『純血のマリア』と云うお話は終わったのです。

えええええええっ、でした。あんだけ風呂敷広げて、こういう終わりかよ! って気持ちもあります。

でも反面、「こういう終わり方しかないよな」と思う自分もいました。この先、もしマリアが魔力を手放さなければ、否、『気づかなければ、学ばなければ』。

愛する全てを巻き込んでの、破滅しかなかった。

マリア個人が玉砕して終わり、なんて生易しいものではなく、マリアを愛するジョセフもアンも、アルテミスやプリアポスも、ビブやエドウィナもエゼキエルに、マリアを見捨てることは出来ない。彼・彼女達を絶望に追いやって、しかし、マリアは自らの望みである『戦争を止める』ことなど、できはしないこと。歴史が物語っているのですから。


このラストに至った時、私はただただ単純に、泣きました。暖かい気持ちになり、エゼキエルの魂が救われたことがひたすら嬉しく、マリアもジョセフも幸せになったことが嬉しかったのです。

それが『あんなに大風呂敷を広げての放棄かよ』『一人だけ勝手に納得して、俺らさっぱり解らねえ』であっても、マリアに関わった人々が幸せであれば、それでよしと受け入れている自分がいました。

少なくとも『天の意向を無視し、魔力を使って地上を乱した魔女はミカエルの罰を受けて魔女の力を失い、その魔女に感化され主に逆らった大天使の使いもまた、罰を受けて堕天した』ですから。マリアもエゼキエルも『天罰』を受けているんです。

ただ、皆が納得し、誰もが幸せになっただけというお話なのですから。



それでも、最近まで解らなかったのは。『マリアの想いは、なぜ天界で否定されなければならなかったのか』。ミカエルはなぜマリアを天に還そうとしたのか。『魔力を使い、戦いを止める』それは、少なくとも善行に見えるのに(それもあって、ずいぶん長い間感想が書けませんでした)。



でもある日、突然『逆で考えれば』と思いついて。


『たとえば、人助けではなく犯罪だったとしたら。人にすぎた‘力’を用いて別の誰かの行動や思想を妨げるとしたら。それは蛮行と呼ばないか』

すると、すとんと腑に落ちた訳で。


「お前の行いは、ただ目の前の嫌なことを消しているだけだ」
一巻のミカエルの指し示す通り、マリアの行動原理は、実はテロリストと変わらなかったということか、と。


あまりにあっさりと悟り、それまでの生き方を放棄し改悛したマリアについていけない、ってのも解ります。でも少なくとも自分は、これに似た物語をよく知っています。

『世に云う犯罪者やテロリストが、自分だけの理由や思想で強大な武器を行使し多くの人々の命を奪ったが、最後に自分の間違いに気づき、ある者は死に、ある者は後悔とともに生きる』

この逆パターンが『純血のマリア』だったのかと。



マリアは、自分が何者か知りません。ビブに問われるまで考えようともしませんでした。あるいは、作者はあえて描かなかったのかもしれません。マリアの語ろうとしない過去、独りぼっちだった子供の頃のことを。

わずかに見えるのは、あの二巻の薬を届けようとして信仰の為に拒絶され、結局、村人たちを死なせてしまったエピソードのみ。

マリアは、頑なに語りたがりませんでした。その理由も解りません。

しかし、ただひとつ解るのは、魔女マリアは孤独であったということ。孤独であるということは、つまり、「自分の思いがけない方向から、問いかける存在がいない」というのと同義語。

問われなければ、答えを探せない。問われなければ、それが『問いである』ことすら、気づけない。問うという、異質の存在が身近にいて、初めて『自分』を見つめなおすことができるのです。

2巻での「あなた自身の幸せとは何か」と言うエゼキエルの問いに答えられない。自分の幸せなど、文字通り考えたこともないのだから。自分を知らないものが、自分の思いのままに『他人を救う』の名の下に強大な『力』を行使する。


これがどれほど危険であるか。マリアは自覚が無かったということ。


尽きるところ、『魔女』という小さな枠組みの中だけで『人間』という存在を知ろうともせず、ただ、『人間とは、無知で愚かな、可哀想な存在』として決めつけ、『自分が傷つかない安全な場所から』魔力を用いて『石を投げていたに』過ぎなかった。

結局、マリアが「お前たちは天界から見ているだけ」となじった天使や神と等しいもので、いやむしろ思想もなく中途半端に力を使いるという、悪質な状態だった、ということです。


ミカエルは言いました。
「『抑止』とはよく言ったもので、あの者は何も決断していない」と。

決断するには、自分が何を知り、何を知らないかを把握しなければできません。『問い』から派生した『魔女マリアという存在の意味』を計るのに『純潔』を天秤としたのは、自分が何者かを知るためには、『個人の愛』が必要不可欠だと天界は解っていたからなのかもしれません。


マリアは、愛を渇望していた。
愛を渇望するから、皆の幸せを願ってやまなかった。

愛を知り尽くしたビブが図らずも指摘した通り、マリアは自分でも解らないほど、孤独の中に生きていた彼女の、『多くの人を幸せにしたい』願いは本物でした。

ただ、魔力と言う『力』に頼るうちは、彼女が望む願いは決して叶えられないと。力に頼れば、より強い力に屈服せざるを得ない。1巻で、マリアをはるかに凌ぐ神通力で彼女を屈服させたミカエルのように。そして力で挫けば、相手はさらに強大な力を欲してやまないだろうと。

それこそ、マリアが忌み嫌う戦いの連鎖を断ち切れないと。ミカエルは示していたのです。

マリアは知らなかった。人に限らず、魔女もまた愚かな存在だということを。知るということは、痛みを分かち合うのと同義語であり、心から理解するということ。

ジョセフを先に討とうとするミカエルを「殺してやる」と叫んだマリアの姿は、人間はなぜ愚かな争いをやめないのか、その理由を痛感できるのです。人の愛を自覚したマリアは『人を安全な立場から諦観』することは、もうできない。人を愛するということは、『人と言う当事者』になるということなのですから。

マリアより早く『当事者』になった存在。それがエゼキエルでした。ミカエルの力の象徴である槍でもある彼女は、監視対象であったマリアの熱意にほだされ、迷い、一度は殺そうとするものの、赦され、『人の温もり』を知る。

畏れながらも、『人の愛』をミカエルに進言するエゼキエルは、その時点で覚悟を決めていたのでしょう。天界に戻れないことを、罰を受けることを。

『愛』とは、結局、何なのでしょう。
互いが互いを思いやるのも愛なら、守りたいと願うのも愛。そして不条理に奪われて憎しみを募らすのも愛。そして、一番深く、一番厳しい愛の形もありました。

様々な『愛』が形を変えて描かれ、しかも逆説的な形で説いているのだから、解りづらいかもしれません。しかし、少なくとも、ここに描かれている人々の願いは叶い、自ら見つけた『愛』によって(ミカエルですら)救われたのは確かなのです。


『純潔のマリア』とは、長いながい、天使のお説教の物語でした。一人の魔女が愛を知り、傲慢にも力を振るい続けた『天罰』を受けて魔女として死んだお話です。

でも、同時に、一人の魔女が人の愛に導かれ、一人の人間として生まれ変わり、魔力の代わりに智慧で人々を導き、守っていくだろう未来のお話でもあるのです。


「まどろっこしい、そんな説教、口で言えばいいやん」って思う? 口で言って、聴く相手かマリアって?(笑)

とまあ、いろいろ長いこと書いたけど。つきるところ

「ほんっと、処女ってめんどくせえ!」

でまとめられると思います。身もふたもねえわ!(笑) つか「家族になりたい」で気がつけよwww

でも、変なしがらみや馬鹿な理想に殉じなくて良かった! 「彼氏ができましたー!」って、ある意味すごく勇気の必要な(主に描く側が)『決断』だったと思います。その決断と、あのラストに心から感謝です。

『戦争は大嫌いだから、私の目の前から消えて欲しい』、そんなマリアの願いは、長い時間をかけて叶えられていくのです。その時代、もうマリアもジョセフも生きていません。しかし、人々の心の中で生きているのです。






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